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ハンターズバイブル2の例のアレ

最近あちこちで話題になっているハンターズバイブル2のお話です。今回の目玉は狩場情報がアトルガンエリアまで網羅したということで、コルセア上げの狩場情報の参考に買いました。

POP地図がとてもいいですね。新エリアで普通のレベル上げをしたことがなかったので、Lv60以降は狩場もよくわからなかったのですが、この本があればかなり役に立ちそうです。

で、巻末に近いところに「魔法の命中率について」という検証記事がありまして。その中に「歌の命中率」という項目がありました。ル・アビタウ神殿のゴーレム相手に管楽器スキルブースト・歌唱スキルブースト・CHRブースト・ホルン+1装備・アーススタッフ装備・テラスタッフ装備の各条件でそれぞれ1000回修羅のエレジーを詠唱して成功率を実測したというものです。

ダメージの大きさではっきりブースト効果が分かる精霊魔法スキルと違って、いまだに結論が出てないのが、「敵歌のレジ率を下げるには歌唱スキルと管楽器スキルのどちらをブーストするのが効果的なのか」「スキルとCHRどちらが重要なのか」という点です。長らく「管楽器スキルとCHR以外意味がない」と言われていた(根拠になっていたのはこちらのデータ)のですが、最近は歌唱スキルもバランス良くブーストする必要があるというデータもあったりで、最近再び混沌としてきています。

が、何しろ検証するといっても、特にMPK防止の名目で、生息範囲外から出た敵はターゲットを失うと消滅する(いわゆるイリュージョン)仕様が出来てからは、それなりにレベル差のある格上の敵(同一個体)に延々歌を歌い続けるというのが難しくなっているので、なかなかFAが出てきません。

そんな現状なので、ハンターズバイブル2では、「1000回実際に歌ってみました!」というからかなり期待していたんですよ。ところが内容をみてがっかりでした。

 
まず、ハンターズバイブル2に掲載されているデータの概要を紹介します。

■ベース
管楽器241,歌唱225,CHR79
武器なし,楽器コルネット
敵84レベルのAura Statueに修羅のエレジー
(土,風曜日,風天候以外)
エレジー成功率 298/1000 29.8%

■比較ケース
Case1:管楽器スキル 241→256
エレジー成功率 339/1000 33.9%(+4.1%)
装備変更箇所 ウィンドトルク(管楽器スキル+7)+CHキャニオンズ+1(管楽器スキル+8)
※元の装備は不明

Case2:歌唱スキル 225→240
エレジー成功率 417/1000 41.7%(+11.9%)
装備変更箇所 不明

Case3:CHR79→94
エレジー成功率 338/1000 33.8%(+4.0%)
装備変更箇所 不明

Case4:楽器 ホルン+1(エレジー+2)
エレジー成功率 451/1000 45.1%(+15.3%)
装備変更箇所 コルネット+1→ホルン+1

Case5:武器 アーススタッフ
エレジー成功率 462/1000 46.2%(+16.4%)
装備変更箇所 武器無し→アーススタッフ

Case6:武器 テラスタッフ
エレジー成功率 515/1000 51.5%(+21.7%)
装備変更箇所 武器無し→テラスタッフ

■結論
・歌唱スキルブーストの方が管楽器スキルブーストよりも効果が大きい
 (ただしベースが違うことに注意)
・CHRブーストと管楽器ブーストの効果は同じぐらい
・スキルだCHRだ言う前に属性杖HQ持って楽器も+2効果のやつ使え

その他に、推測できることとして、掲載されていたSSから
・検証者はタルタル吟、サポはMPのあるジョブ
・どの条件の時かは不明だがおそらくシャイルマンティルを着用、頭装備は少なくともターバン、毒キノコは装備していない
ということがあります。

吟/白だとすると元のCHRは70なので(ハンターズバイブル2 P253にあるデータより)、「ベース」とされている状態でもCHRが9増えていることになります。

で、これのどこががっかりかといいますと。

がっかりポイント1:ベースのCHRが低すぎる
詩人をやってる人なら分かると思いますけど、Lv75でそれなりの格上を相手にする時にCHR79で狩場に行くとかありえない……あまりにも低すぎます。サポ白でMP重視装備とかサポ忍でヘイスト重視装備をするとかいう場合にしても、もう少し上がりそうなものです。

ベースの79に+15すればCHR94で、ようやく一般的な詩人の「今日はCHR低め」って装備に追いつく感じだと思います。もう少し現実的な数字を採用してほしかった。

数字の上では管楽器スキル241以上ではほぼCHR+1=管楽器スキル+1、という興味深い結果になっているのですが、はたして現実的なベースにCHRを持って行った時にどうなのかという点に疑問が残るのがとても残念です。


がっかりポイント2:スキルのベースが違うところで比較しても意味がない
実験対象はメリポで管楽器スキル+16(8段階)しているということですが、241を256にするのと、225を240にするのでは意味が違うのは少し考えれば分かりそうなものですが……

そもそもスキルの効き方にしても、スキルを上げるほどリニアに命中率が上がる(レジスト率が下がる)とは限らず、ある一定値を超えると効果が劇的に変わるとか、ゆるやかに命中率上昇効果が減っていくという可能性もあるわけです。その意味でもベースが16違っているというのは前提条件の決め方が甘いんじゃないでしょうか。

だいたい、「歌唱と管楽器どっちを上げればいいの」という悩みって具体的にいえば「メリポをどうふればいいの」「手はAF1とAF2どっちがいいの」「毒キノコはやっぱり被らないとだめですか;;」ってあたりなんで、その疑問には何も答えていませんね。

メリポを何も入れていない状態か、せめて両方に等分に入れた検証者を使うべきだったんじゃないでしょうか。


がっかりポイント3:「歌唱スキル+15」は本当に歌唱スキル+15だけなのか?
猫の中の人が一番問題だと思うのがこの点です。最初の2つなんてこれに比べたらかわいいもんです。歌唱スキルがブーストできる詩人の装備ってこんなものだと思うのですが(マルドゥクティアラはこの本の編集時期から考えて未実装だと思うので除いています)。

CHカフス+1 Rare Ex 防18 HP+14 VIT+7 CHR+7 歌唱スキル+10 敵対心-1
コラルカフス:防15 HP+14 CHR+4 歌唱スキル+5 敵対心-1
バードラウンドリト:防19 HP+13 CHR+5 歌唱スキル+5 敵対心-3
BDラウンドリト+1:防20 HP+13 CHR+6 歌唱スキル+5 敵対心-4
デーモンヘルム:防25 INT+5 MND-5 受け流しスキル+5 歌唱スキル+5
デーモンヘルム+1:防26 INT+6 MND-6 受け流しスキル+6 歌唱スキル+6
チャンタースタッフ:D20 隔366 INT-6 MND+6 CHR+6 歌唱スキル+4
慧敏の羽衣:MP+25 召喚魔法スキル+5 忍術スキル+5 歌唱スキル+5
シンギングピアス:歌唱スキル+3


さてこのなかから選んで、歌唱スキルを+15するとしたら、どうすればいいか。単純に考えるとCHカフス+1とバードラウンドリト(orBDラウンドリト+1)が簡単です。検証者も管楽器スキルブーストにはCHキャニオンズ+1を使用したそうなので、CHカフス+1を持っている可能性はあると思います。

ところがこの組み合わせにした場合、CHR+も合計12(BDラウンドリト+1の場合は13)ついているんですよ。ここで疑問を感じたのは「このCHR上昇分を相殺するような装備変更はされていたのか」という点。

推測どおりタルタル・サポ白だとすると元のCHRがそもそも70ですから、装備で増減できるのは9しかないんです。CHR-装備もなくはない(犬の首輪、グスゲンのNMが落とす怨指輪シリーズなど)ので、絶対に不可能とは言い切れないですが、CHRがベースと比べて変動している可能性は極めて高いと考えられます。

もし何の調整もされていないとすれば、最大でCHR79→91(92)になっているわけで、歌唱スキルに加えてCHRまでプラスされてるんだから、命中率の上昇が歌唱スキルブーストの効果だとはいえなくなります。それで「歌唱スキルブーストは管楽器スキルブーストの3倍の効果」なんてミスリードはいくらなんでもまずいでしょう。

CHカフス+1がない場合は、装備位置の被りを考えると、
・コラルカフス(+5)+デーモンヘルム+1(+6)+チャンタースタッフ(+4)(CHR+10)
・コラルカフス(+5)+BDラウンドリト+1(+5)+慧敏の羽衣(+5)(CHR+10)
・コラルカフス(+5)+バードラウンドリト(+5)+慧敏の羽衣(+5)(CHR+9)
・デーモンヘルム+1(+6)+チャンタースタッフ(+4)+慧敏の羽衣(+5)(CHR+6)
・コラルカフス(+5)+デーモンヘルム(+5)+慧敏の羽衣(+5)(CHR+4)

の5つの組み合わせが考えられますが、いずれもCHR+がつきますから、なんらかの調整が必要になるはずです。

※2/6追記:CHカフス+1とデーモンヘルムNQ(CHR+合計7)という組み合わせもありましたので記述の一部(CHR+10以下にするには慧敏の羽衣が必須、という部分)を削除しました。

まあノーヴィオピアスを「黒魔導師ならぜひ手に入れたい」なんて書いちゃうような本なんで、羽衣ぐらい持ってて当然ですよ^^とか、タル詩人が実はサポ黒だったから羽衣がなくても調整できましたとか、実はハンターズバイブルの表に誤植があってタル詩人のCHRはもっと低かったとか、そもそもSSがフェイクで検証者は猫詩人だったからサポ白でもCHRは64しかなかったにゃーとかいった理由で、だから装備変更でCHRも調整できていたのであればデータには問題はないのですが、いずれにせよこういう疑問を抱かせてしまう時点で書籍に掲載するような検証結果としてはあまりにもお粗末。

検証というからには装備を全部位列記して、追試ができるような形にしておくのが当然だと思うのです。それが紙面の都合で無理なら、せめて「どの部位を何から何に変更して、だからCHRは変動していない(もしくはどれだけ変動した)」ということを明らかにするのは基本中の基本。試行条件が不明確なまま結果だけだして「検証しました」ってどこの役所のいい加減な調査ですかという感じです。

条件を変えて空の奥地でLv84の敵相手にエレジー1000回ずつ詠唱した労力には敬意を表しますが、根本的に検証の意味を分かってないんじゃないでしょうか。

まあ一言でまとめると[残念です]って感じ。前提さえはっきりしていれば、多少条件が不揃いでも1000回の試行というのはとても貴重なデータで、それなりの知見を得る事はできると思うのです。今からでも、出版社のサイト上などで前提条件をきちんと明らかにしてもらえることを期待したいと思います。
 

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